社台サラブレッドクラブ2023年度募集注目馬

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アラッザ22

母父Areionは2010,2013,2015,2017年の独リーディングサイアー。競走成績は短距離に突出しており、Areionの父Big Shuffleもまた短距離路線で活躍し、複数年での独リーディングサイアーとなっている。産駒はスプリントからマイルまでの距離で活躍しているが、Big Shuffleと同様に母の肌に入ると距離の融通性は効きやすい傾向にあり、タタソールズGC(GI)勝ち馬で凱旋門賞にも出走しているAlenquerバーデン大賞(GI)勝ち馬でジャパンカップに2年連続で出走した経歴を持つIquitosなど多数の中距離馬を輩出している。

ダイワメジャー×Big Shuffleの配合はスターオブペルシャを輩出しているが、本馬は母父が母父Areionの母AerleonaにCaerleonが入ることで多少なりともスターオブペルシャよりかは機敏な動きを見せる可能性は高い。さらにスターオブペルシャは気性的な問題から去勢したが、去勢=女性ホルモン優位になることから筋肉が硬くなりにくい作用があり、筋肉が硬くなることで関節可動域の狭小化を防ぐ効果もあったと推測。本馬は牝馬ということからもその点に関しては加点材料にしても良いかと思います。

懸念材料は大きく2つ。1つはトライマイベストが持つSex Appealが力感的に上位に表出する可能性がある点。ここに関しては走ってみないと分かりませんから、可能性の1つとして留めておくしか無いかなと思います。もう1点は気性。母系やダイワメジャー牝馬という点を踏まえると気性が良いとは言い難い気はします。その点も成長や調教負荷が上がると共に表面化しやすいところだと思いますので、この手の馬に関しては理解した上で付き合っていくべきなのかなと考えます。

馬体からは首や胴の長さから距離はマイルまで持つかどうかといった印象ですが、肩が立っておらず、後脚が曲飛で中殿筋〜下腿のラインまで一直線に伸びたフォルムは瞬発力型の典型例。まだ1歳ということから幼さが残る馬体ではあるが、キ甲が抜けていないことから首差しや胴の長さは今後変化するものと思われます。

配合のバランスやダイワメジャー牝馬での配合として見たときに今年度の40口の中では相当上位の配合バランスを持つ馬だと感じました。距離さえ持てば桜花賞路線で期待できるかと思います。

 

 

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エミーズプライド22

半兄にUAEダービー勝ち馬クラウンプライドが居る血統馬。本馬は父がナダルに変わりましたが、ナダルは4戦4勝でアーカンソーダービー(GII)勝ち馬。デビュー前から脚元に不安があり、アーカンソーダービー後に左前脚を骨折したことにより種牡馬入りとなった馬。

ナダル(Nadal) - 社台スタリオンパレード2023 - YouTube

2023年の社台スタリオンパレードでは身長171cm馬体重670㎏との紹介をされていますが、馬体からも相当雄大な馬体を持つ馬ですから足元の不安がついて回ることは致し方ない部分かと思います。産駒は大きすぎず小さすぎずの馬が多く出生しているとのことからナダルのような足元の不安を持つ馬は極端に多くならないものと考えています。

ナダルはBlame×Pulpit×Pleasant Colonyで5代母がPatelinですから、近親にアーリントンC(GⅢ)2着馬リッケンバッカーの母シティウェルズ、加GⅠカナディアン国際S(T12F)勝ち馬Marsh Sideがいる血統。ナダルの血統構成はKris S.Aurora(Danzig×Alydar×Courtly Dee)Liable(Seeking the Gold×Nijinsky×Special)の父Blameと、PulpitA.P. Indy×Mr. Prospector×Narrate)Pleasant Colony(His Majesty×Sunrise Flight)Patelin(Bold Ruler +Eight Thirty3×4)となり、相当なパワータイプと言えるかと思います。現に日本でデビューしたBlame産駒は芝での好走歴が牝馬のみで、牡馬は全てダートを主戦場としており、この傾向はナダル産駒でより顕著なものとなると言って良いかと思います。

エミーズプライドはキングカメハメハ×アグネスタキオン×トニービンで4代母がグレイキル(Forli×She's Beautiful(On-and-On×Turn-to)×Al Hattab×TwillQuill)ですから、ナダルが持つパワー的要素とスピードの要素を多くのクロスとニアリークロスで刺激し合う非常に理に適った形の血統構成となっています。

公式プレビューでは馬体重390㎏台となっていますが、遅生まれでキ甲が抜けていないことを踏まえれば今後さらに成長すると考えて良いかと思います。成長曲線的には遅めかと思いますし、募集総額5,000万と比較的高額の部類に入るかと思いますが、ダート路線で長く楽しむことが出来る存在といえるでしょう。広いコースやタフなコースを得意とする可能性が高いことからダートを得意とする美浦・高木厩舎に入厩する予定であることも加点材料と捉えて良いかと思います。個人的にはダート路線であればこの馬が最も良く見えました。

 

 

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ザガールインザットソング22

半姉にフィリーズレビュー勝ち馬シングザットソングがいる血統。母ザガールインザットソングは米GⅡラカニャーダS(D8.5F)勝ち馬。血統構成はMy Golden Song(Unbridled's Song×Gold Meridian)×Dixieland Band×Alydar×Lt. Stevensで4代母がBelthazarですから一般的にはダート的な配合。本馬の父はアルアインですが、Great Above≒Charediのニアリークロスが発生しており、ドバイマジェスティ×ザガールインザットソングの組み合わせの牡馬であれば基本的にはダート路線と考えるべきでしょう。アルアイン産駒は見た目以上にゴツゴツしている馬が多く、公式プレビューで馬体重440㎏台ということからもこの馬も幅が広い馬体となることが想定されます。いずれクラスの壁にぶつかる可能性はありますが、ある程度回数を使ってくれる厩舎ですので、体質と脚元が丈夫であれば堅実な走りを長く見せ続けられるでしょうし、回収期待度は自ずと上がりそうです。

 

 

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ドバウィハイツ22

ドバウィハイツは米GⅠゲイムリーS(T9F)、イエローリボンS(T10F)勝ち馬。ドバウィハイツの半弟Make BelieveはGI仏2000ギニー、仏GIフォレ賞勝ち馬。母Rosie's Posyの半妹Tante Roseは英GⅠスプリントC(T6F)勝ち馬と世界各国の重賞で活躍している馬を多く輩出しているファミリーラインを持つ。本馬の兄弟馬はデビューした7頭のうち4頭が勝ち上がっており、そのうち3頭が3勝とアベレージは比較的高めとなっている。特に半姉リバティハイツはGⅡフィリーズレビュー勝ち馬で重賞好走歴が多数あり、募集金額4,000万に対して12,442万の賞金を得ており、晩年まで重賞路線で活躍をした馬だった。

本馬は父がイスラボニータとなるが、イスラボニータ産駒の性別比較でのデータ(6/10終了時点での中央競馬のみ)を下記に示します。(勝/走破数)

牡馬⇨芝:27/289 ダート:22/252 計:541走

牝馬⇨芝:22/264 ダート:10/127 計:391走

ここまで見ると性別で分けて見たときの大きな偏りが無いように感じるかもしれません。

次にクラス別でのデータ(6/10終了時点での中央競馬のみ)を下記図に示します。

2.3歳までは牡馬が芝ダート問わず優勢、牝馬は明らかに芝優勢となっているが、赤文字で記載したように3歳以上から牡馬がダート優勢、牝馬が変わらず芝優勢と明らかに成績の推移が変化していることが分かるかと思います。

馬も人間と同じく年齢を重ねる毎に筋肉や関節が硬くなる生き物ですが、筋肉はホルモンバランスの影響が大きく、生理学的に牡馬は男性ホルモン優位ですから柔⇨硬、牝馬は女性ホルモン優位ですから柔⇨柔となりやすく、このデータはこれらの理由が大きく影響しているものと思われます。本馬は牝馬ですから兄弟馬が全て芝で勝っているように芝を主戦場に走る可能性は非常に高いと言えるでしょう。

次に配合面ですが、3歳以上の条件戦を勝っているイスラボニータ産駒牝馬の4頭は全てHalo(ニアリークロス含む)とNijinsky(ニアリークロス含む)を内包していました。

・ミカッテヨンデイイ

Halo⇨ステイゴールド

Nijinsky⇨≒Storm Bird

・リサリサ

Halo⇨タイキシャトル

NijinskyCaerleon、≒Storm Bird

・ミスボニータ

Halo⇨Street Boss(Halo×(≒Red God))

Nijinsky⇨≒Storm Bird

・コスタボニータ

Halo⇨≒Gay Missile

NijinskyGreen Dancer

本馬は母父DubawiがHaloとニアリーイコールの関係性であるSir Ivor×Drone5×5のクロスを内包しており、更に3代母My Branchの2代父はHabitatとこれもニアリーイコールとなっています。また本馬はミスボニータと同様にGreen Dancerを内包。上記の図と比較すれば本馬も走る条件は整っていると言えそうです。

現状小柄な馬体となっていますが、ドバウィハイツの産駒は大きな馬を出しにくいことが特徴として挙げられます。距離はマイルまでと言った印象が強いですが、今後の成長力次第と言って良さそうです。

半姉リバティハイツと同様に長い活躍を期待したいと思います。